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絵とモ~ソ~SS。

あ~み~

夜、双海家。
亜美が自室の床にべたり座りこみ、目力強いむくれ顔でマンガを読んでいると、その両肩へ背後から真美の両腕が被さってきた。
「あ~み~」
おどけた声の真美に亜美はこれっぽっちも顔を向ける様子もなく、ひたすらマンガの紙面に集中している。
真美は亜美の無反応にも構わず頬を後ろ髪に、胸を背の横側にぺたりとくっつけ、ぶらぶらしながらもたれかける。
珍妙にも見えるが実のことろこれは何も稀有な光景ではない、もう六年も前から時折こういうことがあるのだ。

小学校も入学して暫くの頃、両親の留守だったことがあった。
亜美と真美は帰り着くや否や監視のない家に愉快適悦、菓子なりゲームなり興味の限りを尽くし面白がったが、日没を過ぎたころ突然に亜美が泣きだしたのだ。
それは大雑把な観察でも明らかなことで、ただ両親の帰宅が遅く不安だということに尽きた。
真美は根拠はなくも、その心理を直観によって感じ取りつつ、母が普段亜美にしてやっていたことを思い出した。
母はいつも亜美の背中を抱いてやっていた。
やってみよう、と真美は考えるでもなく体を動かし、両腕を亜美の両肩から胸の前へ結び抱きついた。
すると亜美はすぐさまとはいかなかったが、しかしゆっくりと安泰を取り戻したのだ。

なぜだろう、幾度か亜美が泣いたり拗ねたりするたびに抱きついてやりながら、真美は亜美の落ち着く理由を考えていたが、それはどうやら抱くことそのものにあるらしい。
抱くことは保護することだ。
その両腕の中にできる空間は家であり、どれほど遠くへ行こうと、困ったら帰ってこれる場所だ。
つまり真美は、実の母の代わりに、亜美にとっての安息の標となったのである。

今日の夕飯時、亜美は母親に激しく叱咤されたのだが、まあこれは亜美が頼まれたおつかいをそっちのけにしてゲームに没頭していたという取りたてて言うこともない理由によるもので、しかしそれっきり亜美はふてくされて部屋にこもってしまっていた。
真美はいつも通りになだめてやったのだ。
小一時間して亜美はようやく眼力を緩ませ、ふと全身の力を抜くと真美の胸元へぐったり寄りかかった。
「よ~しよし、んじゃ真美は先に食べてくるね~」
真美は亜美の頭の重みを両手に受け止めつつ、立ち上がって食卓へ向かった。
「あ、ちょ……」
亜美はせっかくの安息を拒否され仰向けのまま呆然とした。
「……も→。行くしかないじゃん」
小声でそう漏らすと、右腕にゆっくり力を加えて立ち上がり、亜美はおもむろに歩き出した。
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